意地悪な先輩〜バレー部の二人の王子〜
「ずいぶん身勝手なんですね」

「そうだね。俺もそう思うよ。遼は特定の彼女を作らず、まるで美緒がいつでも戻れるようにしているみたいなんだ。遼の片思い、って事なのかな」

「水嶋先輩の、片思い…?」

「だからさ、俺にしておかないか?」

「そんな都合良く気持ちを変えられません」

「分かった。気が変わったら言ってくれる?」

裕樹先輩は、『じゃ』と苦笑いしながら手を挙げ、去って行った。

貴公子を振るなんて、バチが当たるかもしれないな…

もし昨日、私が水嶋先輩に告白してたら、きっと同じ目に合っただろうと思うと、他人事とは思えなかった。
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