意地悪な先輩〜バレー部の二人の王子〜
「え? あ、なんで?」

「保健室へ行くぞ」

私は水嶋先輩に抱っこされていた。いわゆる『お姫様抱っこ』。

「降ろしてください。自分で歩けますから」

「いや、歩けないね。暴れると落ちるから、しっかり掴まってろ」

水嶋先輩は私を抱っこして、ずんずんと教室の中を歩いて行った。
私は仕方なく水嶋先輩の首に掴まり、みんなから顔を見られるのが恥ずかしいので、水嶋先輩の胸に顔を埋めた。


保健室でベットに横になり、校医の先生から薬をもらって飲んだ後、私はすぐに眠ってしまった。

どのくらい眠ったのだろう。
人の話し声で目を開けると、校医の先生と水嶋先輩が話をしていた。

「水嶋君が送ってくれるのね?」

「はい。家の方向が一緒なので」

「じゃあ、お願いね。君なら力持ちだから安心だわ」



「起きたか? 帰るぞ」

「一人で帰れますから…」

「バカ言ってんじゃない。あ、おまえをおぶって鞄持つのはキツイから、鞄は学校に置いてくぞ。いいな?」

「はい」

「よし。じゃあ、掴まれ」
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