意地悪な先輩〜バレー部の二人の王子〜
ああ、これはきっと幻覚だな…

「メグちゃん。水嶋先輩が呼んでるよ」

「え? 加奈ちゃんも幻覚が見えるの?」

「何言ってるのよ? あ、来た」

「へ? 何が来たって?」

「昨日は悪かった」

頭の上から水嶋先輩の声がした。
今度は幻聴まで聞こえる。重症だなあ、私。

「おい、どうした?」

私は肩にズンと重みを感じて顔を上げると、そこには水嶋先輩が立っていた。

「あ、本物だ…」

「何言ってるんだ? 昨日の話って何だったのか聞きに来たんだが…」

「ああ。それはもういいです。わざわざすみません。さようなら…」

そう言って机に突っ伏そうとしたら、水嶋先輩に頭とオデコを押さえられた。

「さ、触らないでください!」

浅田先輩を抱いた手で、触れてほしくなかった。

「すごい熱じゃないか」

「大丈夫ですから、放っといてください」

私は水嶋先輩の手を振り払おうとして手を上げたら、体がグラッと傾いた。
倒れると思ったら、水嶋先輩に支えられ、そして体がふわっと浮いた。
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