意地悪な先輩〜バレー部の二人の王子〜
「ちっとも堪えてないようね。アタシが強烈なパンチをお見舞いしてあげる」

リーダー格の人が握り拳を作って大きく振りかぶった。

「きゃっ」

私は咄嗟に手で顔を覆った。

「そこまでだ」

え?

『遼様!』

顔から手を退かして見ると、水嶋先輩が目の前にいて、私を打とうとした人の手首をがっちり握っていた。

「おまえら、ずいぶん卑怯なまねしてくれるな?」

「だって、コイツが生意気だから、少し懲らしめてやろうと思って…」

「へえー、どう生意気なんだ?」

「遼様と恋人気取りで…」

「実際にそうだからなあ」

「そんなの嘘です!」
< 154 / 187 >

この作品をシェア

pagetop