ワンダー、フルカラー
「相談したいことがあるんだけどね…」

近くにある公園のベンチに腰を下ろして、遊具を見ながら私は重たくなってきた口を開く。
相談をする内容が内容だ。栗井くんにとっては嫌な人のことだ。気が重くなってしまうのは当然のことだ。
思えば思うほど憂鬱になる…

「どうせあれだろ。臼田のことだろ。」
「え!」

まだ何も言っていない。しかし、何故か栗井くんに私を今悩ませている相手のことがバレてしまった。
え、エスパーなのかな…?

「真夜子って臼田のことどう想ってる?」

言おうか悩んでいる私の変わりに栗井くんは話題を振ってくれて、しかしその内容が、臼田くんのことが嫌いな彼には珍しい内容であった為、不思議な気持ちでいっぱいになる私。

「臼田くんのことは…」

幼馴染で不思議くん。そして、世話の掛かる同居人で、

(私の好きな人…)

文句を言われたって好きなものは好き。1週間前の同居生活のスタートの日から荒っぽくなってしまったけれど、彼はあれでも必死に落ち着こうとしている。
何気に頑張り屋さんだ。

「…どんなことを頭に浮かべたかは知らないけどさ、」

栗井くんは口を閉ざした私に再び話を振り、何故か鞄を漁り出す。

「最初声を掛けた時、真夜子が暗そうにしてたから俺は気になって声を掛けた訳さ…だけど今の真夜子、溶けそうな顔して臼田のこと考えてた。」

と、溶けそうな顔って一体…

「真夜子をそんな顔にさせるだなんてな…臼田の野郎今度会ったら容赦しねぇ…お、あったあった。」

イライラとした口調で臼田くんの文句を言ったかと思えば、今度は楽しそうに見つけた何かを見つめる栗井くん。
一瞬臼田くんと何かが被った。

「はい、悩める真夜子にプレゼント。」
「おお、」

そう言われて渡されたものは、棒が付いた小さな飴。

「良いの?」

しかも私の好物のイチゴ味。美味しそう。

「おう。」

栗井くんは私の言葉に笑顔で答えると、私の顔に手を触れて。

「真夜子の憂鬱が晴れるのなら、喜んで。」
「え…」

少女漫画で良く出てくるキザっぽい人間が言うような台詞を言いながら、私の頬に、

「じゃあな。」
「な…」

キスをして去っていった。
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