ワンダー、フルカラー
******

昨日の俺が真夜子にやってしまったことを、昨日の夜の寝る前に考えてみた。
頬にキス…よく考えてみれば俺、あんなことをしておいてよく平然としていられたよな…真夜子の父親の根津に言ってみたら『ふぅん』で終わるし、あの教師は娘がどうなっても良いのだろうか。
キスした理由というのは真夜子を落とす為。ちょっとでも真夜子の心の中に入れれば良いかと思った。
しかし難しいことに…真夜子の心の中にはずっと臼田が棲み着いている。今日だって臼田の為と言わんばかりに俺にあまり読みもしない漫画のことを聞いて来やがるし…

「お前は一体真夜子の何なんだよ。」

真夜子は幼馴染みだと言っていた。けれど態度から言わせればアレは完全に『好きな人』だろう。

「真夜は僕の大切な人です。」

目の前にいる臼田は洗濯物を必死に畳みながら、ハキハキとそう答える。
何も考えもせずにあっさりと言えてしまえるとか強い。
けれど、

「大切ってどういう意味だ?」

『大切』と言われても、どういう意味での『大切』なのか、そこだけは一応ライバルとしてとてつもなく知っておきたい。
友達として大切なのか、兄弟のように育ってきたから大切なのか、それとも、好きだから大切にしているのか。
臼田は俺の顔を見ると少しだけ眉を寄せて、自嘲気味な笑い声を漏らす。

「僕にも分かりません。」

奴の口から出てきた言葉は、意外すぎるものだった。

「最近までは友人として彼女のことが好きでしたが…今はどこか違うような気がして。クリームくんと話しているのを見掛けただけでイライラしてしまって駄目なんです。」
「………」

何がどう、分からないのか俺にはさっぱり分からない。
それってつまり、

(真夜子と両想いってことじゃん…)

つまり臼田は俺に醜いまでに嫉妬をしているのだ。だから俺のことを警戒して口で対抗してきて…しかし見た感じ、コイツはまだそれに気が付いていないようだ。
っていうことはまだ俺にも希望が…?
< 81 / 89 >

この作品をシェア

pagetop