愛想人〜アイオモイビト・幼なじみ〜

誰よ!?という意味を込めて睨みながらそちらを向けば………


「桐先輩ッ!?」
「怖ッ!!」


………声が被ってしまった。


てか『怖ッ!!』って………。


まぁ、たしかに睨みながらだから怖いか…。


でもショックは受けるよ、うん。




「てかなんでこんな土砂降りの中傘もさそうとせず、しかも走る準備なんかしてんの?」


ぉ。


ようやく気づいたか。


桐先輩の視線が動き『あぁ!!』と言ったので理解したんだ、と思った。


「傘忘れたのか」


ガクッ


桐先輩って………馬鹿?


いや、馬鹿は失礼だから…天然?


つか今さっきのは素でボケちゃった感じ?


見上げればニコニコしている桐先輩。


あぁ…素でボケたんですね。


あたしの心の中に同情みたいな感じの感情が芽生える。


「桐先輩…違います」


ため息混じりに言えば………


「んじゃなんで?」


と返ってきた。


桐先輩って注意力散漫だな…。


んー…テストとか結構危ないんじゃないの?とか失礼なことを考えた。


しかし桐先輩は変なとこで勘が鋭いみたいだ。


考えてることがバレた。





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