天涯の花
蜃気楼のように、竹井の背が揺らめく。
「竹井…、空は飛べたのか?」
竹井はよく、このヒマワリ畑を見ながら、空が飛びたいと口にしていた。
ヒマワリたちの憧れる太陽が見たいのだと。
「うん。−−でも」
夏の、雲一つない青い空を裂くように、鳥が横切る。
あまりに青過ぎる空は、鳥を孤独にした。
「飛んだら今度は地上が懐かしくなった」
ヒマワリたちは、先程と変わらない姿で空を見上げている。
竹井は横目でその姿を追った。