DOUBLE STEAL ~イシヲモツモノ~
MISSION 19 ― エターナル・グリーン・アイビーを回収せよ ―


 町が夕闇に包まれる頃――

 未央は学校から戻り着替えを済ませると、ソファーの上にバタンと倒れた。

 天井をじっと見つめる。

 そしてまた千聖の事を考え始めた。

(千聖の両親は、ホワイトローズ号の事故で亡くなった。そしてお父さんの集めていた絶対売らないはずの石は、他人の手に――。コメットは何故かその石を集めている)

未央は心の中で呟きながら、千聖の部屋のドアに目をやった。

(知りたい。千里がコメットなのか、そうでないのか。―― そうだ、部屋を……千聖の部屋を調べてみよう。そうすればきっと――)

 徐に立ち上がり千聖の部屋の前に立つと、未央は他には誰も居ないにも関わらずそっとノブを捻った。

 そのまま部屋に入って明かりをつける。

 未央の使っている部屋より広い。

(これが千聖の部屋……)

 男の子の部屋は響の所へ何度か遊びに行った事があったので、初めてでは無かった。

 でも何故か胸がドキドキした。

 本人が居ない間に忍び込んだからという事でも無く、見付かったら怒鳴られるからというのでも無く――

 何だか分からないものが、未央の胸を支配していた。

 辺りを見回す。

 そこは響の部屋とは違い、フィギュアやプラモデル、ポスターなどは一切無かった。

 壁際にぐるりと置かれた本棚には、たくさんの本が並んでいる。

 鉱物に関する本。

 コンピューターに関する本。

 建築物に関する本。

 化学の本。

 心理学の本。

 色々なジャンルの、様々な本――

 その多さは、本の重さで床が抜けるのではないかと思われるほどだった。

 他には立派な机と、おそらく両親の物だったのだろう大きなベッド。

 その一つ一つの前に行き、未央は思うままに色々な物を手に取ってみた。

< 177 / 343 >

この作品をシェア

pagetop