DOUBLE STEAL ~イシヲモツモノ~
MISSION 2 ― 千聖の秘密 ―

 窓から差し込む陽射しに目を覚ます。

 ベランダに置いた手作りの餌台に、小鳥が集まって餌を啄んでいる。

 いつもと同じ爽やかな朝だ。

 千聖はうぅーん―― と大きく伸びをした。

「それにしても、昨夜の夢はずいぶんリアルだったな……」

 呟いて寝返りを打つ。

 伸ばした手に何かが触れて、思わずキュッと掴んだ。

(柔らかい……何だ?)

 確かめるようにもう一 ・二度掴む。

(いい感じだ……)

 心地良いその感触に、それが何なのか確かめようとふっと目を開ける――

 すぐ横に誰か寝ているのが見えた。

(―― うん、寝ている。寝て――)

「え?―― う……わぁあああ!」

 千聖は思わずベッドから転がり落ちた。

 昨日は誰もこの部屋には来ていない。

 新聞の集金もピザ屋も、世話好きの管理人も――

 そう、誰一人として。

 だが、紛れも無くベッドの上には人間一人が存在していた。

「だ、誰だ?」

「ん―― おはよう。よく寝た……」

 床に座ったまま問い掛けると、ムックリと起き上がり微笑み返してきたのは茶色い髪の少女。

(女……という事は、さっきの柔らかいのは……)

 千聖は思わず手を見つめた。

「どうしたの?慌てて―― そっか、ビックリしたんだ。大丈夫、何もしてないから」

「何も―― えっ?君が?俺が?」

 薄桃色の唇から吐き出された言葉に、完全にパニック状態になる。

「もちろん私がよ」

「じゃあ俺は?」

「覚えてないの?昨夜のこと。私の名前なんかも?」

 大きな瞳でじっと見つめられて、千聖はゴクリと唾を飲んだ。

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