DOUBLE STEAL ~イシヲモツモノ~
「それって―― ここに居ていいって事?」

「ああ。あんたが納得するまで居ればいい。だけど俺のする事には口を出すな。それが条件――」

「千聖!」

 次の瞬間、未央はソファーから立ち上がり、こちらを向いた千聖に駆け寄った。

 そのまま胸にぎゅっと抱き付く。

 不意をつかれて、千聖は思わず未央に触れかけた手をかろうじて止めた。

「ありがとう千聖……」

 その言葉にフッと笑みが漏れる。

「あんたと居ると調子が狂う。これで結局はあんたの思い通りだ」

 千聖はそう告げて、胸に張り付いている未央の肩を掴んだ。

「さあ、もう離してくれ。部屋に戻るから」

 しかし未央は黙ったままで離れようとしない。

 それどころか、押し退けようとすると益々しがみついて来た。

 身体に触れる柔らかい物にドキッとする。

「おい――」

「駄目!動かないで!」

「なんだよ」

「お願い動かないで!それから―― 目つぶって」

 千聖は理由が分からないという風に肩を竦めた。

「なんだよ、何でそんな事――」

「嫌!動いちゃ嫌!だって――!」

 未央は一旦顔を上げ、また千聖の胸に押し付けると、蚊の鳴くような声で呟いた。

「だって……バスタオル落ちちゃったんだもん……」

「えっ――?」

「下着、見えちゃうもん。だから、目ぇつぶって!」

「ハ……ハハハ……クックックックッ……」

 真っ赤になって叫んだ未央の後ろ――

 フローリングの床に静かに横たわるバスタオルを目にして、千聖は笑い出した。



…★……★……★…


☆ENXT☆

「ふぅ……上手くいったわ。さてと、あとは……えっ?嘘、そんな……」

「何してるんだよ未央」

「あのね、えっと……響には関係ないから」

「もしかしておまえ、何か隠してるだろ?」

「うっ……あの、その……」

「早く出せよ、それ美味いのか?一人で食わないで俺にも食わせろよ」

「響……」


  MISSION6  
  ― 未央の誤算 ― へ続く。



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