Faylay~しあわせの魔法
それからも、何度か魔族と遭遇した。

あまりにも頻繁に起こる戦闘のせいで何度も話の腰を折られ。

「リディルの話は、任務が終わった後にしよう。ちゃんと詳しく話してやるからさ」

「はい、わか……」

ヴァンガードが頷こうとすると、フェイレイはその手を掴み、小指を絡めてブンブン振りだした。

その行動に驚いていると、フェイレイはにこっと笑った。

「約束なー。あ、これ、約束を誓うときにするヤツね」

と、小指を絡めた手を更に強く振り回す。

「は、はい」

にこやかに笑う彼に、ヴァンガードは戸惑うばかりだ。

小指を放されて、くるりと背を向けられた後も訝しげにフェイレイを眺めるヴァンガードを、リディルがジッと見つめていた。

その視線に気付き、ヴァンガードは慌てて笑みを作る。

「あ、あの、フェイレイさんって、思っていたよりずっと気さくな方なんですね。僕、『セルティアの英雄』はもっと近寄りがたい人なのかと思っていました」

「……フェイは、誰にでも優しい。それが、いいところ」

「そうですね。凄く素敵な人だと思います」

微笑んでそう伝えると、リディルはしばらくジッとヴァンガードを見つめた後、ゆっくりと歩き出した。

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