白衣を脱いでキス。



なんだろう?


「っおい、余計なこと言うな」


手を洗っていた先生が口を挟むと、歯科医師さんがニヤリと笑った。


「はいはい。千晶【ちあき】帰ろうぜ」


なるほど。

この衛生士さんは千晶さんというみたいだ。


「うん。じゃ、青木先生お先に失礼します」


「お疲れー」


2人はそう言って昨日先生が着替えるために入って行った部屋に行ってしまった。

パタンとドアが閉まって、先生と2人きり。


「偉いね」


ゴム手袋をはめた先生が目を細める。

あ…。

この表情、マスクなしで見たい。


「なにがですか?」


偉いと言われるようなことなんてした覚えがない。


「今日、来ないかと思ってたよ」


イスに座ると、先生は背もたれを倒した。



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