白衣を脱いでキス。



額。

瞼。

鼻先。

頬。

順番に誠さんの唇が落とされる。

最後に、唇に。

優しいキス。

ドキドキして胸が苦しいくらいに締め付けられるのに。

離して欲しくない。


「…治療、する?」


疑問系で聞いてるクセに、有無を言わさない声で聞いてくる誠さんはずるい。


「……はい」


そう答えると髪をくしゃくしゃに撫でられた。


「いい子」


手を繋がれて、少し前に座っていた診察イスに座るよう促された。

座ると、誠さんは棚からマスクと治療用のゴム手袋を取り出して身に着けた。


「理子ちゃんには昨日あぁ言ったけど実際はそんなにひどくないんだよ、この虫歯」


マスクをした誠さんは歯医者さんの顔になっていた。


「?」


「麻酔しないで削っても痛みはないってこと」


にこにこと誠さんは笑う。



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