DesTroMentaL ParaSity ―デストロメンタル パラシティ―

「契約書と入出金記録、
それに企業名リスト?」


一見何の変哲もない資料
を前にして、少女は未だ
青年の思惑が読み取れず
不意に怪訝な表情を浮か
べることになった。


「ええ……記録やリスト
は出力したものですが、
契約書だけは先日現場検
証を行った際に偶然見つ
けることが出来ました。
まずこちらですが“月に
1000万支払わなければ娘
の命はない”と。そして
ご両親が殺害されたちょ
うど一週間前にあたる此
の箇所をご覧ください」


そう言うと青年は、先程
まで話題にしていた契約
書を机の隅へ追いやり、
代わりに入出金記録の該
当部分を徐に指差した。


「――2億の引き落とし?
随分と不自然だねぇ」

「調べによると、この時
期ウィルヘルム家では生
業の収入がほぼ途絶えて
いたそうです。加えてご
両親は、消息不明だった
貴女を助けるべく組織に
莫大な身代金を払い続け
ていましたから、心身共
に疲れ切っていたのは間
違いありません。いわば
この金額は、そうした彼
らを更なるどん底へ突き
落とす駄目押しの一手と
いったところでしょう」


話すうちに段々声のトー
ンを落として俯き始める
青年とは対照的に、肝心
の少女はまるで他人事の
ように冷めた目でその光
景を眺めるに止まった。
< 30 / 32 >

この作品をシェア

pagetop