DesTroMentaL ParaSity ―デストロメンタル パラシティ―

それを知ってか知らずか
男は、次から次へと溢れ
る涙を拭うことなく更に
少女に問いかけ続けた。


「そうまでして、守りた
かったってわけか?」

「――当たり前だろう?
せっかくの金の卵が抑え
られちゃあ、組織が財政
難で潰れちまうからね」

「き……貴様ぁぁぁ!!」


あろうことか警視総監殺
害という大罪を犯したに
もかかわらず全くもって
反省の色が伺えないその
言葉を耳にして、とうと
う冷静さを失った男は怒
りに任せて少女の胸倉を
思い切り掴み上げた。

すると、今し方沈黙を守
っていたはずの青年が突
如両者の間に割り込んで
少女に絡み付く男の手を
懸命に解いていった。


「あのっ!!これを見て頂
けますか?勿論貴女も」


そう言うや否や、青年は
暫し呆気に取られる2人を
よそにいつの間にか用意
していた書類を手際良く
机の上に並べ始めた。


「ふっ、いいのかい?」

「ええ。むしろ貴女に見
て頂きたいのです」


このような些か安い挑発
にも屈しない青年の力強
い瞳と台詞に半ば疑問を
抱きつつも、少女は目の
前のそれにゆっくりと視
線を落としていった。
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