CALL =フィヨルド=
鬱蒼と生い茂る巨大な樹木たち、人間が軽く乗れるほどの太い枝と
樹齢を疑いたくなるほどの太すぎる幹
所狭しとそびえ立つその樹からなる森林は、天高く輝く太陽の日差しを遮る。
その森林の深いところに、不自然に開けた空間があった。
そこに建つ一件のログハウス、この辺りの樹木の結晶か、かなりでかい…
「ん…くあぁぁ…」
簡素に作られた8つの木製ベッド、その1つから、一人の少年が、眠気を晴らし切らないまま起き上がった。
逆立った黒い髪に大きな黒い瞳、見た目は5歳ほどだが、将来有望と言えるほどのかっこよさも垣間見える。
「起きたか?フィヨルド。」
ベッドルームのすぐそばのテーブル、そこで紅茶をすする青年がいた。
銀髪銀眼の爽やかな18歳程度の青年、ワイシャツとスラックスがとても似合っている。
「おはようございます…、カイン先生。」
フィヨルドと呼ばれた少年は、瞳を擦りながら、カインと呼ばれた青年の元へ向かう。
「ん…おはよう。顔洗っておいで。紅茶とお茶、どっちがいい?」
「紅茶で。」
頭を撫でられ、嬉しそうにするフィヨルドは、洗面所へと走って行く。