CALL =フィヨルド=

フィヨルドがテーブルに戻ってくるころにはすでに、暖かい朝食が揃えられていた。


こんがり焼けたコーンパン

とろとろのコーンスープ

新鮮な野菜サラダ



睡眠欲が覚めたフィヨルドを、今度は食欲が襲う。
わくわくしながらテーブルにつき、カインの許可を待つ。
普段の躾のたまものである。


「はい、いいよ。」

「いっただっきま~す!」



熱いパンに肉薄しながらも、口に入れた途端広がる香りに至福の笑み。

カインも微笑みながらそれを見つめる。










「…カインしぇんしぇ~、アイたちはぁ~?」

「口に入れたまま話さないの。もうとっくに起きて外で遊んでるよ。」






フィヨルドが住むこのログハウスは、いわば『孤児院』である。

なんらか理由で親のいない子供たちが集まり、生活をしていく施設。

フィヨルドの親も、フィヨルドがもっと小さいころに、いなくなった。

と、カインから聞いている。


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