君のそばで微笑みを


 なんて心の内はナナに伝わるわけも無く、彼女はのんびりと話し始める。


「今日さ、遼ちゃん遅番で遅いでしょ? それを知ったお母さんがさ、コレ持っていってあげなさいよ~なんて言うんだもん」


 ナナは大事そうに抱えていたものを、すっと差し出してきた。


 藍色の風呂敷に包まれていたのでさすがに中身は確認できない。


 とりあえず受け取り、お礼を言って終わろうとしたのにナナはまだ続けてくる。


「しかもオバサン達は旅行で居ないでしょ? 料理作れる人居ないからって事で多めに持たされたんだよね~」

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