短編■ 男子中学生用トラップ
「だからさ、先生。今ここには俺と先生の二人だけ」
にこりと笑う顔は皮肉にも中学生らしいかわいらしいもので、
マツリはどきりと高鳴った胸をどうにか落ち着かせた。
「こんな、マンション、に…?」
「そだよ」
あっけらかんと答える森崎に、なんだか拍子抜けしてしまう。
(なるほど、金持ち故にグレるというベタなパターンね)
(…お坊ちゃん?セレブ?)
詮索したい気持ちに駆られ、マツリは玄関から長い廊下の奥に執拗に目を向けた。
不意に肩に置かれた手。
「……なあセンセ、
センセと俺、夜ん相性良いと思う」
甘く囁かれた言葉―――