ミチノソラ
でも、どこで会ったんだっけ・・・



あたしは自分の頭の中を覗き込むように、

視線を上げ、遠くを見やった。



「キャパパパパパパ、今日も愉快だネ~!」



そう、その声、その台詞、聞いたことがある。

でも、一体どこで・・・?



「キャパパパパパパ!キャパパパパパパ!」



ピエロがいるところって、遊園地・・・


いや、絶叫系マシンが苦手なあたしが、

ピエロがいるような小さな遊園地に行くはずがない。


あたしが行けるのは、日本最大級を誇る、

ファンタジックな世界を創り上げている、

著名なネズミのキャラクターがいるところだけだ。



「キャパパパパパパ!迷ってる君、愉快だネ~!」



そうだ、あたし、迷子だった。


どこで?


あれは何歳のときだっただろう。



ふと、頭の中に意識を寄せていた目の焦点を、

黒い暗い天井へと移した。



この暗闇、どこかで・・・・


そうだわ!

あれは、サーカスに行ったときだわ!


平日に、母と二人で・・・

なんであたし迷子になってたんだっけ・・・



そこを思い出そうとすると、

まるで目の前に霧がかかっているかのように、

もやもやとあたしの行く手を阻んでくる。



「キャパパパパパパパ!キャパパパパパパパ!」



そして、相変わらず笑い続けていたピエロが、

あたしの記憶のピースを拾い上げるような事を言った。
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