ACcess -縁-
薄っぺらいな、とヤツは呟くとオレの持っていた雑誌を奪う。
「幻獣やペットなんて、たかが知れてるだろ。
 雑誌やウェブで調べればいくらでも情報は手に入る。」

そう言ってその雑誌の中からペットのページを開く。
「…可愛いよな、こいつら。」
カラフルな色の小型モンスターを指差す。
設定では、ペット用に品種改良されたモンスターだそうだ。
手の平サイズのクリクリとした目、呼ばれればひょっこり出てきて、肩に乗るヤツもいる。

モーションも何種類かあり、可愛いからとβ版時代と、少し前に流行った事があった。
まぁ、ペットを連れて歩くというのは、一部のユーザーにとってはステイタスだった。
「…ややこしい話はオレは苦手だ。」
「奇遇だな。俺も苦手だ。」

奪った雑誌を閉じて元の位置へ戻す。
その動作をなんとなく、いろんな事を考えながら見ていた。

店内はスウェット姿の人が何人商品を選んでいた。
レジの格好良いお兄さんは、けだるそうに欠伸を噛み締めていた。

現実的。非現実的。
曖昧な世界を行き来するオレ達。
「…幽霊、か。」
店内の有線は最新のラブソングを歌っている。

泉がレジに向かおうとしたので、その後について行く。

今度は自分が自転車を漕ぐという事を考えたら憂鬱になった。
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