ACcess -縁-
買った荷物と財布を自転車の籠に乗せ、ゆっくりとこぎ出す。
「真面目にこげよ。」
「いや、いたって真面目だが。」
「フラフラしてて、壁に…って本当にぶつかるっ!」
「おっとと。すまん。」

バランスをとりながらゆっくりと進む。
どうか警官にバレていませんように…そう考えながらこぐ。

空には雲がないようで、よく見れば星が輝いていた。

人気のない道路。
淋しく電灯が周りの風景を映し出す。
こんな場所に幽霊が現れるのかなぁ…なんて。

ちょっと幽霊について調べてみようかな、とオレは思った。
まぁ、泉は怖がるからそんな危険思想をしてるだなんて、知らせない方がいいだろう。
いつか殺されるからな。


後ろで今流行りの歌を歌う。

恋愛ソングではなく、前向きな未来を歌った曲。
アップテンポで口ずさみたくなる曲なので、最近泉はよく歌ってる。
「パレットの上の青色じゃとても、描けそうにないこの晴れた空をただちゃんと見つめていてー。」
「今は夜空だぞ。」
「んんんんー。」
「ちゃんと歌えよ!」
「歌詞が分からん。」
「あのなぁー。」
「そんな事より、帰ったらまずラーメン食いながらさっきの続きだ。」
「汁がPCに飛ぶぞ。」


結局さっきの続きなんかではなく、バザーで掘り出し物を見付けるとか言って広場にやってきてしまった。
「なんか…こう、気持ち悪いアイテムないかな?」
「なんだよ、オレはそんなの要らないからな。」
「分かった。お揃いで付けよう。」
「ちょっと待てコラ!」


こうして俺達の夜は更けていく。

ここは二人の世界。
二人の遊び場。
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