ACcess -縁-
いつになく歩がネガティブだった。
さっきのこと、悔やんでる?

「勝手に、死ぬのは反則だ。」

俺も背中に手を回した。
歩の匂いだ。


ポロリ。


涙が出た。
そのまま涙の粒は頬を流れていった。

「…追いかけられてた。
 いや、追いかけてたのかな?それとも、逃げてた…?
 それで…何かに見つかった気がした。」

歩の指が俺の後髪を撫でた。

「…恐かった。」

そう告げると、俺は腕の力を緩めた。

「…そのままで。」

泣いてたのはバレてたみたいだ。
涙をぬ拭おうとしたのが見つかった。

「お城、暗い、一人、女の子。
 それだけ覚えてる。」
後はだんだん薄れてきた。

あぁ、夢だったんだ。
恐い夢…悪夢だった。

「もういいよ…もう。」

その言葉を聞き、また不安だった心が安心した。

後頭部を軽く二度押さえられた。
もう寝よう、そう言う意味で捉えよう。

目を瞑る。

言葉など、何も要るまい。

ただ、君の腕の中で温もりを感じて。

明日になれば忘れる今夜の悪夢。

少しでも君と一緒にいたら、いい夢になるのかな?

弱気な双子の女王蜂。

今夜だけは…。
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