ACcess -縁-
ニコリと嬉しそうに笑う。
そしてそのままオレ達に背を向けた。

なんか、な。

なんか、変なヤツ。

動き出そうとしたソイツに叫んだ。
「ちょっと待て!」

驚いた顔をして振り返る。
「は、はい!?」
少し裏返った声で答えた。

なんとなく、ワシャワシャと頭を掻く。
「…なんかあったら、言え。」
自分の手は勝手にメールを送っていた。

驚いているのか、びっくりしているのか、それとも困惑しているのかよく分からない。
でもソイツは目を輝かせた。
「僕、フライって言います。こっちは…言いましたっけ?ジルです。
 よろしく、お願いします!」
差し伸べてきた掌。
それを受け取ると同時に新着メールが届いた。

今度はオレがびっくりしていると、手を離した。

「はは。変なヤツをよろしくです。
 じゃあ、ソルトさんまた!」
最後まで変なヤツ。
手を振り、何度か後ろを振り返りながら人ごみの中へ消えていった。


ペッパーが溜め息を吐いた。
「なんなんだ、アイツ?」
「変なヤツ二号。」
「…は?」
「一号はお前な。」
「なんでだよ。」
後ろからどつかれた。
「あと変な生き物一号。」
「…あのペットか?」

状況が飲み込めない兄に特に説明するでもなく、オレは新着メールを開いた。
「違う、フライとジルだよ。
 ただの初心者さ。」
「初心者…?」
「行こうぜ、ギャラリーが増えてきた。」
「…あぁ。」
人だかりができてきそうだったのでその場を離れた。
足取りは軽く、どことなくソルトも嬉しそうだった。

初心者の騎士との出会い。
よく分らない何かで満たされた自分。
それも悪くないな、と。


次、キノコ狩りする時は絶対にフライを召喚することに決めた。
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