死霊むせび泣く声
が首を切られ、曝された事実は一体何だろうと改めて思う。

 それに昔、マンション内で人が首を吊ったこともあり、いくら極度のノイローゼが原因だったとはいえ、トイレで首吊り自殺した人間がいるなど、明らかにあの物件が曰く付きであることを思わせるに十分だった。


 俺は一つ一つの事実関係を頭の中で整理する。


 ファミレスに着くと、店内に入り、メニューを見ながら相変わらず考え込んでいた。


「和義、まだ考えてるの?」


「ああ。……だって不気味だからな。普段住んでる場所がそういったところだとね」


「考えすぎよ。もう時代は二十一世紀なんだから、怨霊とかってないわ」


「でも、都市伝説だってあるわけじゃん」


「まあ、それはそうなんだけどね……」


 里夏が曖昧に頷く。
 

 俺はステーキのセットものを頼み、里夏は冷たいパスタを頼んだ。


 食事が届くまで、時間がある。
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