死霊むせび泣く声
 俺は淡々と企画書を打つだけで、仕事自体が極めて単純だった。


 逆に疲れる。


 午前中の時間帯から午後まで、ひたすらキーを叩き続けていた。


 合間に企画部でも電話が鳴ったりしている。


 俺は別に電話番などを任されたことはないので、同僚社員たちが取ることもあるし、自分のデスクの固定が鳴れば、当然取っていた。


 俺自身、仕事が終わると、自宅の最寄り駅まで電車に乗る。


 ガタンガタンと電車に揺られながら、家まで帰り着くのだ。


 俺が普段の単調な生活のことなどを考え続けていると、里夏が、


「和義、コーヒー買ってきたわよ」


 と言って、俺にブラックの缶コーヒーを差し出す。


 彼女も同じで、自分の分のコーヒーもブラックのようだ。


 俺たちはプルトップを捻り開けて、缶に口を付け、呷り始めた。

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