死霊むせび泣く声
 ゴクリゴクリと喉が鳴る。


 俺は自販機内で冷えていたコーヒーを半分ほど飲むと、スタンドに立て掛けた。


 シートは倒したままで、ゆっくりとしている。


 里夏が空を見上げていた。


 やはり雨は降り続いている。


 俺が、


「当分は降り止まないな」


 と言うと、彼女が、


「ええ、そうね」


 と答えた。


 俺たちは雨降りの中、車の中に取り残される。


 何か情報を得たいと思い、ラジオを付けると、ローカルニュースが報道されていて、今日の昼前に俺たちの住んでいる街のマンションで首を吊った女性がいたとキャスターが言っている。
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