死霊むせび泣く声
 俺は朝の九時には上下ともスーツで出勤してきて、大概午後五時過ぎには業務を終え、午後七時過ぎぐらいまで残業する。


 家に帰ってくるのはいつも午後八時半ぐらいだった。


 クタクタに疲れて帰ってきて、上着を脱ぎ、ハンガーに掛ける。


 スラックスを脱いで、部屋着を着て、スーツをクローゼットに仕舞い込む。


 ワイシャツは毎日洗濯していた。


 夏は汗染みがするし、冬場も汚れるとにおいが付いたりしているからだ。


 俺は夜遅くでも室内に設置してある洗濯機を回し、翌日の朝、起き出してからベランダに干すのだ。


 その日はたまたま休みで、里夏が遊びに来ていたが、俺は休日であることを見計らって、溜まっていた洗濯物をまとめて洗濯した。


 グーングーングーンという音がして、洗濯機が回り続ける。


 俺はその音を聞きながら、ビールを飲んでいた。


 暑い夜は喉越しのいいビールが一番いい。

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