死霊むせび泣く声
 俺自身、小津原の帰っていくのを見ながら、


“これで霊は封じ込められた”


 と思い、持っているパソコンを立ち上げて、ネットに繋ぐ。


 ネット上では蒸し暑いこの季節、都市伝説のサイトがやけに盛り上がる。


 俺もそういったものを見ている人間の一人だった。


 しばらくネットサーフィンして、情報を仕入れていると、ケータイが鳴り出す。


 差し込んでいた充電器から抜き取り、フリップを開いて、ディスプレイを見る。


 里夏からの電話だった。


 迷わず通話ボタンを押して、右耳に押し当てる。


「はい」


 ――あ、あたし。里夏。


「どうしたの?」


 ――お払いしてもらったの?
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