おしゃべりな百合の花
「それに…あなたの顔…


 とても綺麗。」


 そう言って、美百合はうっとりと龍一の横顔を眺めた。


 最初から、望みのない恋なので、美百合の言動は全く遠慮というものが無かった。


 その為か、龍一はすっかり自分のペースを乱される。


「そんなに見るな。」


 頬を心なしか赤らめる龍一に、美百合はまた可笑しそうに笑った。


「ねぇ、ハーフなんでしょ?」


「母がロシア人だ。」


 答える義理なんかないのに、つい答えてしまっている。


「わぁ…やっぱり。どんな人?」


 美百合は興味津々で食い付いた。


「普通より、少しだけスタイル良くてゴージャスな、ただのオバサン。」


 また、つらつらと答えている。


「会ってみたいな…。」


 叶わぬ望みと知りつつ、美百合は本音を漏らした。


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