おしゃべりな百合の花
それでも龍一は、美百合の無事を確認出来たことにすっかり満足し、ホッと胸を撫で下ろし、その表情には微かな笑みまで浮かべていた。
龍一は、通路の鉄柵に両手を組んで乗せ、道路やアパート周辺の景色を見渡して、不振な者や車がないか確認した。
幸い、今日は仕事も無い。
翌朝まで、こうして彼女の護衛を勝手に勤める気でいた。
平日の昼間は、アパートの住人の出入りもほとんどなく、静まり返っている。
何時間そうしていただろう。
学校帰りの小学生や中学生が、アパート下の道路を通り過ぎ、そんな子ども達のふざけあう姿をなんとなく眺めていると、西の空が赤く染まった。
不意に後方でドアの開く音がして、龍一が振り返ると、スッピンにパジャマ姿の美百合が、今にも泣き出しそうな顔で立っていた。
「いつまで、そこでそうしてる気?いい加減にしてよ!」
「ごめん。」
美百合が相当ご立腹なので、取り敢えず謝った。
美百合に泣かれるのが怖かった。
美百合は龍一を見詰めながらも必死に涙を堪えているようで、龍一はただ見詰め返す事しか出来なかった。
龍一は、通路の鉄柵に両手を組んで乗せ、道路やアパート周辺の景色を見渡して、不振な者や車がないか確認した。
幸い、今日は仕事も無い。
翌朝まで、こうして彼女の護衛を勝手に勤める気でいた。
平日の昼間は、アパートの住人の出入りもほとんどなく、静まり返っている。
何時間そうしていただろう。
学校帰りの小学生や中学生が、アパート下の道路を通り過ぎ、そんな子ども達のふざけあう姿をなんとなく眺めていると、西の空が赤く染まった。
不意に後方でドアの開く音がして、龍一が振り返ると、スッピンにパジャマ姿の美百合が、今にも泣き出しそうな顔で立っていた。
「いつまで、そこでそうしてる気?いい加減にしてよ!」
「ごめん。」
美百合が相当ご立腹なので、取り敢えず謝った。
美百合に泣かれるのが怖かった。
美百合は龍一を見詰めながらも必死に涙を堪えているようで、龍一はただ見詰め返す事しか出来なかった。