T氏の哀愁【学園珍国物語・番外】
※ ※ ※


神田は、立川の過ぎ去った後ろ姿をしばし見つめていたが、

すぐにため息をついた。



「周りの野郎って……それを、「友人」というのだろう…」





きっと立川にはわからない、夏奈子が感じた神田の優しさがこれなのだ。


まったく、あの男は損な性格をしている。


自分がどう行動すれば、どう人の目に映るのか。


それをわかり過ぎた結果なのだ。



立川という男は、そういう男だ。



神田は再びため息をつくと、携帯を取り出す。


彼の思考は次へと動いていた。


夏奈子のアドレスをひっぱりだす。



どんな嫌味を言ってやろうか。


どれだけ今の自分が、夏奈子に会いたいか。


どれだけ、大切に想っているか…。



神田の指は、高速で文字を打ち出していた。





※ ※ ※

< 16 / 18 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop