この青空を君へ。
元樹はただ私の頭をなでてくれていただけだった。
その手は壊れやすいものを扱うように優しくて、そして、どこか・・・


「落ち着いた?」
元樹の言葉に私は小さく首を縦にふった。



「どうしてここに来たの?」
少しかすれた声で私は聞いてみる。


「どうしてって、こっちも聞きたいくらい」

「・・・どういう事?」


元樹は腕の中にいる私をさらに引き寄せる。


「俺も千春に会いたいって思ってここに来たんだ」


耳元で話す元樹の声と体から伝わる元樹の声。
微笑む彼の表情とそこに影を落とす夕日。


高鳴る心臓の音はきっと彼にも伝わってしまっているだろう。



私はわかってしまった。


元樹も私と同じように迷路の中にいること。

その中でただ怯えていること。




私たちは何も言わず、ただただ身を寄せ合うだけ。
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