水音
ガチャ…
鍵が開いている…?
「悠奈ッ!?」
快がいた。
目を真っ赤にして携帯電話を片手にたたずんでいた。
あたしに気づくと、すぐに駆け寄り抱きついてきた。
「ゴメン!もうしない!許して!オレには悠奈しかいないってわかったから━」
…あたししかいない…?
…本当に…?
…快もそう思ってくれる?
あぁ、馬鹿だ。
でも、止められなかった。
もう一度だけ信じてみよう。
もう一度だけ…
あたしはこんな情けない程快を好きになっているんだ。
情けないって思っても、この手を払うなんてできなかった。
傷口はカサブタになっていった。
まだ治らないけど、
痛みを忘れるには十分だ。