水音
店の方も順調、
と言っても田舎の街はずれだから混み合うほどではないが、客足が絶えることはなく、食べていく分には十分な給料は貰えた。
健太クンが休みの日にはバーも手伝うようになった。
少しはお酒の作り方を教えてもらったが、もっぱらウエイトレスのようなもの。
それより、店が終わってコウさんと飲む方が楽しみだったりする。
「コウさんはあたしには手を出さないんですか?」
少し焦って、むせながらコウさんは言った。
「紗季が何て言ってたか知らないケド…悠奈ちゃんは娘みたいなもんかな!?」
「ムスメかぁ☆ありがとパパッ!」
少しがっかりしたような、嬉しいような複雑な気分。
「悠奈ちゃんは可愛いな」
とまた頭を撫でてくれた。
この瞬間が好きだった。