甲子園の奇跡
「マネージャーやってるのはどうして？ベンチに入れるから？」

今思えば、これ以上ない失礼な質問だったと思う。


何も考えずに、ただ思ったことを口にしたあたしに、諒大は泣きそうな顔で言葉を吐いた。

「仕方ねーじゃん。肩、壊しちまったんだから」


「ご、ごめん」

慌てて謝り、目線を下に移した。



だけど、耳に飛び込んできた明るい声。

「謝るなって。マネージャーの仕事って雑用ばっかに思われるけど、体力的な仕事、練習中のノックもしたりするし、みんなの精神的なサポートとか誰でもできることじゃないから、指名された時嬉しかったんだ」


そして、こう続けた。

「でもこれで分かった？うちのマネージャーは女ではできないってこと」

諒大は楽しそうに声を上げて笑い、あたしは仕方なく頷いた。



なんていうか…野球部の中にできた絆というか、そこにあたしみたいな部外者が入り込んだらいけない気がしたんだ。

けど、諒大に話を聞いて、最初は興味本位だったのに、ますます野球部に興味が沸いた。


そうだ、あのイケメンのキャプテン？のことも諒大から聞き出さなくちゃ。
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