甲子園の奇跡
嘘?!

驚いて、雑誌を持つ手に力が入る。


特集ページは諒大と倉持先輩の2ショット写真で、【甲子園に帰ってきたエース】という見出し。

【春の大会まではチームのエースだった高野君。肩を壊してマネージャーに転進した後、チームを支え続けた。】という文章が目に入る。

最後は諒大から野球部のみんなに宛てた、『日本一のマネージャーにしてくれてありがとう』という言葉で締めくくられていた。



「諒大?センバツでは1番つけてたの?」

「うん。前に言わなかった?」

「聞いてない!」


聞いてないよ。

センバツでエースナンバーをつけてた、あたしが一目惚れした人って諒大だったんだ。


「あたし、あのエースのプレイを見て、カッコイイなって憧れて…」

「あれだよ。甲子園には野球の神様がいるっていうし。肩壊していじけてた俺に奇跡でも起こしてくれたのかな?なんてね♪」

言いながら、諒大は快晴の空を見上げた。



野球の神様が起こした、ちょっとしたいたずら。―――甲子園の奇跡


諒大の手を取って、肩に寄り添うあたし。

それを見守るように、雲がほとんどない晴天の空からは光が差し込んだ。



-end
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