゚。*゚甘い魔法にかけられて゚*。゚
あまりにも綺麗すぎる顔に、私は至近距離ながらも目を逸らしていた。
何?何でこんなに近いの?
「おい。」
「はい?」
「お前、この前俺に“自分に構うな”って言ったよな?」
ん?
あぁ…あの『いつも自分を否定する』とか先輩に言われた時の。
だって、そんなこと言われたって私には自信となるものなんてないから。
「言いました。他人にとやかく言われたくないですから。」
私が自分を否定しようがどう言ようが、別に他人には関係ないじゃない。
私がただいるだけで、“キモい”とか“暗い”とか言われるんだったら勝手に言ってればいい。
直接何をされたとかじゃないなら別にどうでもいいから、あまり私に構わないでほしい。
「ただ本を借りにくるだけならいいですけど、私に構わないで下さい。」
私は意図のわからないこの先輩と、壁を作るようにそうはっきりと告げた。
これだけハッキリ冷たく言い放っておけば大丈夫だろう。
これでもまだ関わってくるような人なら、それは完全に変わり者だ。
はあ、これで私の平和な日常は守られた。
私はそう安心し、落ちていた『ねこのあしあと』を座り込んで何やら考え込んでいる先輩の手元に置いた。
そして、また図書室の鍵をドアにさしたまま…図書室を出た。