W☆
お告げ

時刻は、深夜12時を過ぎようとしている。

私はカウンター越しに座る常連客に相槌をうちながらも、いい加減、酔っ払いの話を聞くことに飽き飽きしていた。


(それ、先週も聞いたし…)


なんてことは、とても言えない。
言えるものなら言いたいのだけど。

その代わりに、私は今日の一番であり最後の営業スマイルで、酔いが回ってすでに傾いている彼に優しく言った。


「ユージさん、今日も楽しかったわ。
タクシー呼ぶから、着くまでもう少し飲みましょうよ」


どんなに甘く囁いたって、届いてやしないんだろうけど。
< 1 / 19 >

この作品をシェア

pagetop