W☆
「いらっしゃいませ」

店内には、何やら作業中の店員さんが一人いるだけで、他には誰も見当たらなかった。

今の私には、返ってそれがよかったかもしれない。

きっと、ひどい顔をしている。
なるべく他人には見られたくなかった。


特に目的があって入ったわけではなかったから、何となく雑誌の見だしに目をやったり、新商品のお菓子を手に取ったりしてみる。

タクシーを待たせているのが多少気にはなったが、今は少しでも気分を変えたかったから、わざとユックリと買い物をした。


結局、それまで誰も店に入ってくる人はおらず、このお店も暇なのかなぁなんて自嘲気味に思いながら、私は適当にパンと牛乳をカゴへ入れてレジへと向かった。
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