誠に生きた少女

ゲン太の死の叫び声を覚悟した奥村だったが、ゲン太の声はいっこうに上がらなかった。
恐る恐る目を開ける。

「…あ。」

そこには、肩を抑えて倒れこむゲン太。
刀を振り下ろした黒袴の男。
そしてその間で、男の刀を受ける優希の姿があった。

「夜風さん…。」
「ゆ、優希ねぇちゃ…。」

ゆっくりと相手の刀を押し返し、男の前に立ち上がる。
優希の目線の先には、血だまりの中に倒れるさきの姿があった。

「さき…。」

小さく呟くと男に視線を移した。
そして、そのままに奥村に声を掛けた。

「奥村君、動ける?」

優希に声を掛けられ、奥村ははっと我に返った。

「お願い。さきを助けて。まだ、小さいけど息があるの。貴方なら、出来るかもしれないでしょう?」

優希の言葉に、自分に医学の知識があることを思い出した。
今まで自分の命の危機に、すっかり自分の出来ることを見失っていた。

優希の言葉で、少しずつ冷静さを取り戻した奥村は、静かにさきの方に走りよった。

「ゲン太、あなたも、奥村君のほうに移動しなさい。傷、痛いけど行けるよね?」

背中に倒れこんでいるゲン太に声を掛け、奥村の方に非難させる。
ゲン太が去ったことを気配で感じ取り、優希は目の前の相手をもう一度見据えた。

「こんなこと、許しません。」

優希の言葉には、怒りがこもっていた。




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