蒲公英
気がついたとき、僕は席に戻っていた。
なにが起こったのかわからなかった。
沙羅は一言だけ僕に残すと、すぐに背を向けて去ってしまった。
…追いかける資格もなかった。
―私が呼んだの。
あのあと稀沙が僕らに言った。
―黙っててごめん。
本当は全部知ってたの。
沙羅の居場所も、いなくなったその訳も。
本当は全部…、私にだけは話していってくれた。
誰もなにも言わなかった。
周りを気にして、確か促されるまま廊下へとでたような気がする。
やけに静まり返った場所で、震える稀沙の声だけが響いていた。