蒲公英
「おう」




リビングに通されると、未来はワインを片手に僕らを迎えた。




「真っ昼間から酒かよ」

「せっかくのお客様だからな」




ソファに座ると河南子はうれしそうに辺りを見回した。

河南子をここに連れてくるのは初めてだった。




「突然お邪魔させていただいてすみません。新居はどんなところがいいかしらとご相談したくて」




河南子が言う。






結婚したら僕らはふたりで河南子の家の離れに住むことになっている。

離れと言っても普通の一軒家並の大きさはある。

今のところ特に婿養子に入るという話があるわけでもないので、河南子の家族に気兼ねすることもないだろう。

つくづく家柄の差は感じるが、まぁそこは割り切って甘えさせてもらうことにした。

いくら土地の安い田舎でも、僕の給料で家を買うのは楽じゃない。
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