蒲公英
Gegenwart
「結婚することにした」






僕、愛海湧己は言った。

お馴染みのバーで飲んでいるときのことだった。






一緒にいたのは大学時代の悪友。

神野大樹。木立未来。綾瀬春日。橘あかり。来栖稀沙。そして僕を含めた6人だ。

ちょうど男と女が3人ずつになる。






大学を卒業してもうすぐ5年が経つ。

しかし僕らはこうして今だにつるんでいた。






本当ならもうひとり、ここにいるべきだった、いや、いてほしいと願ってやまない人を欠いたまま。






僕は少し俯いた。

その人の顔がやけにリアルに浮かんできた。






僕の大学時代を埋め尽くした、あの頃のすべてだったその名前。











―波止場沙羅
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