蒲公英
「蒲公英の花言葉…知ってる?」

「え?」






「神託、っていうんだ」






今なら分かる。

だからきっと、あんなふうに平気手彼女を縛りつけるような真似ができたのだ。






「俺にとっては沙羅か神様だから。沙羅の言葉ならなんでも信じられる。…沙羅は、俺のすべてだから」






でもそのときは必死だったんだ。

紛れもない本心だった。






「…ごめんね」






沙羅が呟く。

僕は訳も分からず頷いた。






それから肩を並べて帰った僕たちは…、二度とその場所に戻ることはなかった。
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