紙ヒコ―キ
……その時。
家のチャイムが鳴る音がした。
あたしはドタドタと大きな足音を響かせて、慌てて玄関へと向かう。
そして、扉を思いっきり開けた。
「!! 宮地葵……ッ」
ちょっと走っただけなのに、あたしは少し息切れ。
名前を呼ぶだけで精いっぱいだった。
…でも、それは、目の前に立っている彼も同じで。
あたし以上に、肩を上下に動かしている。
走ってきたのかな。…と思った。
本当につらそうな彼を見て、あたしはリビングにいるおばあちゃんに「行ってきます。」と叫び、用意していた鞄を取って外に出た。
そして、宮地葵と向き合う。