紙ヒコ―キ
こうやって、走ってきてくれた事も。
「ちょっと用事が出来て…あ、もう大丈夫だからな。」
そう言って、宮地葵は優しく笑う。
…何だ、用事があって遅かったんだ。無事で良かった。
「うん。」
あたしも笑って頷いた。
「…あ、あと。宮地葵、って呼ぶの、そろそろやめてくれない?」
えっ……そんな……。今更無理だっつーの。
「じゃぁ、何て呼べばいいの?宮地?宮地君?」
「……葵。」
葵って呼んでほしいのか。そっか。じゃぁ……
「葵いぃいいぃい!!!?」
ものすごく近所迷惑な声であたしは叫んだ。
…だ、だだだって!!“葵”って、下の名前だよ!?呼び捨てだよ!?
あたしが葵って呼んでもいいの!!??