紙ヒコ―キ
――少し遅れて教室に戻ると。
あたしに気付いた杏里が、あたしの所に走って来た。
「今日、一緒に行けなくてごめんね!寝坊しちゃって…」
「あ、うん。いいけど…珍しいね。」
あたしがそう言うと、杏里は苦笑いした。
「昨日、なかなか寝れなくてさ…」
「そっか。杏里も大変だね。」
そんな事を杏里と話していると、クラスの女子がやって来た。
「ねぇ、今さっきさ、宮地クン連れてったよね?何で?」
み、見られてたか…いや、見られてて当然だけど。
自分のした行動に、今更ながら恥ずかしさを感じる。
「ちょっと色々あって。…どうして?」
笑いながらそう誤魔化すと、その女子は一瞬で頬をピンクに染めた。
一方で杏里は、あたしに鋭い視線を送っている。
あたしはそれに気付かないフリをする。