空き瓶ロマンス
どちらにしろ、
猫の身動きがあまり自由ではない事は確かだった。
脚を庇うように奇妙な歩き方をしている事もある。
とにかく、早く助けてあげなくては。
そう思った。
あの猫が、この高さから飛び降りても、
体を捩じって上手く着地するとは思えなかった。
体が小さすぎるし、何より怪我をした脚を庇っては、
うまく衝撃を分散出来ないだろう。
私は、部室の道具箱にあった、
プラスチックの猫じゃらし(何であったのかは知らない)で、
猫をこちらに近付けさせようとした。